
中国語を自在に操りながら“ジャズで奏でる”営業
田外 慶彦
Brief Personal History
《(新)営業本部 国内営業部 BMS営業グループ (兼) 海外営業部 営業グループ 課長代理》《(旧)営業第2部 係長》
岡山県津山市出身。大連外国語学院(現・大連外国語大学)を卒業後に入社。国内造船所、国内船主、海外造船所、海外船主を担当後、2016月10月、中国上海に設立された子会社の立ち上げメンバーとして3年間出向。コロナ禍の2020年1月に岡山に戻り、8月に正式に帰任。現在は主に国内・海外案件を担当している。
なぜ中国の大学に進学を?
父が貿易商社を経営していたため、幼いころから海外の人と接する機会があり、将来は海外と接点の持てる仕事をしたいと考えていました。中国の大学は9月に始まりますが、私が入学したのは2008年で、ちょうど北京オリンピックが終わったころです。コミュニケーションに困らない程度の英語力はあったので、これからは中国語だと思い、大連外国語学院を選びました。
上海の子会社設立メンバーに抜擢された経緯は?
ベトナム、フィリピン、シンガポールに続く海外の現地法人として、2016年の設立に向けて日本人3人で上海に赴任しました。中国語が話せることに加えて、入社以来、継続的に中国のお客様とお付き合いがあったことも立ち上げメンバーに選ばれた理由ではないでしょうか。何も決まっていない、やり方もわからないことを、慣習にとらわれることなく、どんどん決めていける設立プロセスは、大変というより楽しい作業でした。

自身の営業スタイルをどのように捉えていますか。
ナカシマプロペラの営業は、社長が指揮をして社員が楽器を演奏するオーケストラではなく、ジャズだと思っています。営業マンは個人商店のように、それぞれが自分の担当を持っていて、上司への相談や報告はしますが、基本的に一人で自由に動けます。ジャズはシンコペーション※ によってリズムが変化したり即興で演奏したりしますが、予定調和でなくお客様の反応に合わせて対応させていただく、私の営業もそんなスタイルかなと思っています。
私は、プロペラを売っているのではなく、価値を売っているイメージを強く持っています。こんな製品があって、こんなふうに素晴らしいので、ぜひ買ってほしいという営業はあまり好きではありません。お客様が何に困っているのか、どんなサービスがほしいと思っているのか、今後どんな方向にビジネスをシフトしていこうとしているのか、話をじっくり聞いて情報を蓄積したうえで、ご提案をします。そんな接し方が一番うまくいくのかなあと感じてはいますが、お客様に合わせて“楽器”や“演奏法”はがらりと変わります。
※シンコペーション ・・・ 音楽で、強い拍と弱い拍の位置を通常と変えて、リズムに変化を与えることやその技法。
今後、どのような変化を予想していますか。
まず、海外営業の方向性でいうと、当社が現地法人を持つアジアの国々では、政府の意向もあり、製造業の現地化が進んでいます。現地資本の企業が製造する製品を採用するよう強く推奨されています。その中で競争に打ち勝つには、「どうしてもナカシマプロペラの製品を使いたい」と海外の造船所や船主に選ばれなければなりません。そのための営業アプローチに注力が必要となり、現地に足を運ぶ回数も増えるでしょう。
業界として考えると、当社もM&Aを行っていますが、ノウハウを持った企業が集まって、より大きな組織を形成する時代が訪れるのではないかと予想しています。
将来、挑戦したいことは?
私は、以前から大都市一極集中の現状に違和感を持っていて、地方都市にできることについて、よく考えます。ナカシマプロペラを選んだのも、海外に目を向けたとき、業界のトップランナーとして、地方から世界にチャレンジできる仕事に魅力を感じたからです。岡山という地方都市の発展に貢献したい思いもありました。
コロナ禍で企業活動のかたちや働く人の考え方が変化し、オンライン会議やリモートワークが広がり、大都市にいる必要がなくなってきています。5Gエリアが拡大され、インフラ整備がさらに進めば、岡山のように気候が温暖で災害の少ない地方都市にはビジネスチャンスがあります。
突飛な発想に聞こえるかもしれませんが、例えば、畜産業に大きな可能性を感じています。当社が持つ電子制御技術を用いて、ニュージーランドのような大規模農場を管理することは、決して不可能ではありません。岡山県の中央部に位置する吉備中央町では、未来都市の実現を目指す「吉備高原都市スーパーシティ構想」が動き出し、私の頭の中は、新しいプロジェクトの構想でいっぱいです。
当社のグループ会社でも、IT関連から医療機器の開発・製造、オフィス事務機器の販売まで、多種多様な事業を行っています。私たち社員もあらゆる可能性を模索してチャレンジすべきですし、「誰もやらないをやる」という企業文化が挑戦を後押ししてくれます。
